元住宅営業マンで、現在は「どのハウスメーカーにも属さない立場」から、お家づくりに必要不可欠なお役立ち情報を提供しております。
当サイトにお越しいただいた方々には、ぜひ「マイホーム計画に活かせる知識」をお持ち帰りいただきたいと思っております。
今回は、鉄骨の住宅の特徴や、鉄骨の住宅で暮らすメリット・デメリットなどを総合的にお伝えしていきます。
住宅の構造タイプで迷われている方は、是非参考にしてみてください。
元住宅営業マンも納得の満足度
- 作成した間取りの数は、契約プランの「こだわりとアイデアの量」に比例する!
- 見比べた見積書の数は、値引き交渉の「知恵と材料の多さ」に比例する!
無料で間取り・見積書を取り寄せられるwebサービスを上手く活用し、理想のマイホームを必ず実現させましょう。
※まずは無料請求の手順と資料サンプルを確認したい方はこちらの記事でご紹介しております。
Contents
「鉄骨で造られた住宅」って?
鉄骨の住宅に対して、みなさんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?
文字通り「家を支える構造材」が鉄でできている建物ですが、鉄骨の住宅が日本で建てられ出したのは、1960年前後(ダイワハウスが1959年に鉄骨の住宅を先駆けて開発)です。
鉄骨の住宅が誕生した理由は、その当時の木造住宅の耐震性が現在と比べて低く、地震大国の日本で「人々の生活を守る新しい住宅」として求められたからです。
一方、日本の住宅着工数全体に対して「鉄骨の住宅の占める割合」が予想に反して低いのも、1つ特徴的な事実としてあげられます。
こちらの記事でもご紹介させていただいたように、住宅の構造タイプは大きく分けて「木造」「コンクリート」そして「鉄骨」の3種類がありますよね。
その中でも、鉄骨の住宅が建てられている割合は、全体の新築着工数の13%ほどです。
●参考資料●
しかし、過去10年前の新築着工数のデータと見比べてみても、この割合は全く変わっておりませんので、何か理由があるのかもしれません(後ほど詳しくご紹介)。
▼合わせて読みたい記事▼
鉄骨の住宅、その特徴とは?
ここで、鉄骨の住宅の特徴をグラフデータにまとめた資料を掲載させていただきます。
●参考データ●
やはり、耐震性や耐久性に関しては、大きな強みがあります。
一方で、断熱性・気密性といった「快適性」の観点から見てみると、少し我慢が必要になってくるかもしれません。
ちなみに、木造の住宅に関するデータやコンクリートの週宅に関するデータは、それぞれ別の記事で掲載させていただいておりますので、興味のある方は比較して見てみてください。
鉄骨造の建物は大きく分けてこの2つの建築パターンがある
具体的な鉄骨の住宅の解説に入る前に、もう1つだけ知識として抑えていただきたい内容があります。
それは、鉄骨の住宅の中で、さらに構造を分類できるということ。
「鉄骨の住宅って、こんなぶっとい鉄で作られているんだよね?」
「木造で言うところの「柱や筋交い」が鉄になるんだよね?」
私が住宅営業をやっていた頃、このような質問をされる方もいらっしゃいましたが、
「え!?こんなに薄かったの?」
「え!?筋交いはいらない工法もあるの?」
と言うように、知っておいてよかった「イメージとのギャップ」があることが多いので、その事実の情報をご紹介していきたいと思います。
まず、鉄骨の建物に使われる鋼材に関してですが、「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」の2種類に分類することができます。
重量鉄骨の建物
まず1つ目が重量鉄骨です。
重量鉄骨はその名の通り、重量が大きい鋼材を指しております。
重量鉄骨…一般的に、厚さが6mmより分厚い鋼材を指す
重量鉄骨は、主に「駐車場」や「マンション」などに使われる鋼材になりますが、私が住宅営業マンにお話しさせていただいたお客様の多くが、「この鉄骨が家に多く使われているんですね〜。」と勘違いをされていることが多かったです。
確かに、3階建て・4階建ての物件になってくると「重量鉄骨」が使われるようになりますが、多くのハウスメーカーで使われている鋼材は「軽量鉄骨」になります。
軽量鉄骨の建物
2つ目が軽量鉄骨です。
軽量鉄骨は、その名の通り「重量鉄骨」と比べて厚さの薄い鋼材を指しております。
軽量鉄骨…一般的に厚さ6mm以下の鋼材を指す
思っていた鉄骨の住宅の構造物よりも「薄い!」と感じられる方も多いのではないでしょうか?
しかし、この軽量鉄骨が、現在ハウスメーカーの各商品に多く使われているのです。
この事実を知っておくだけでも、鉄骨の住宅のイメージの具体化が深くなりますので、是非参考にして見てください。
また、セキスイハイムではセキスイハイムの鉄骨、ヘーベルハウスではヘーベルハウスの鉄骨と言ったように、各社それぞれ独自の鋼材を使っておりますので、より詳しく商品説明が聞きたいという方は、ハウスメーカーで実物をご覧になられるのがいいかと思います。
鉄骨の住宅の構造は大きく分けてこの2つの建築パターンがある
鉄骨の住宅に多く採用されている鋼材である「軽量鉄骨」ですが、その工法も大きく2つに分類することができるのでご紹介させていただきます。
鉄骨軸組工法
まず1つめが「鉄骨軸組工法」です。
木造住宅の「木造軸組工法」のお話は「木造の住宅を解説する記事」にて説明させていただいておりますが、木造軸組工法が木材によって柱、梁、筋交いを組み上げていくように、鉄骨の柱や梁、ブレース(木造でいう筋交いです)を組み上げていく工法が鉄骨軸組工法になります。
軽量鉄骨の柱や梁、ブレースをボルトで固定し、最終的に完成させていくような工法タイプになりますね。
一口に鉄骨軸組工法といっても、
- 積水ハウスは鉄骨軸組と耐力壁フレームをボルトで直接緊結する「鉄骨ピン接合フレーム構造」を採用している商品がある
- ダイワハウスは鉄骨軸組構造の中にブレースをタタキ掛けに入れた鋼製の体力パネルを組み込んだ「鉄骨軸組&パネル併用構造」を採用している商品がある
- また、セキスイハイムやヘーベルハウスの3回建て住宅では鉄骨軸組工法を基本構造とし、「重量鉄骨によるシステムラーメン構造」を採用している商品がある
など、各社によって特筆すべき特徴は変わってきますが、原点となる基本構造はこの工法に集約されていることが言えます。
一方で、また違った工法の鉄骨造住宅もあるんですよ。
鉄骨ユニット工法
2つ目が「鉄骨ユニット」工法です。
この工法は、軽量鉄骨のフレームを箱型に溶接したボックスラーメン構造(箱状に建物を組み立てていくユニット工法)が基本形であり、工場でユニット単位で家を製造し、現場に搬入してからユニット同士をボルトで緊結していき、完成させる工法であります。
大きな特徴としては、工場ですでに住宅の片鱗が形成された状態で現場に搬入してくるため、据付自体は1日で終わるというスピード感が挙げられます。
代表的にこの工法を採用しているハウスメーカーは「セキスイハイム」「トヨタホーム」「クボタホーム」など。
現場で木材を加工しながら組み上げ、住まいづくりを行ってきた職人さんからすれば、工場でほとんど家が完成されて運ばれてくる鉄骨ユニット工法には、大きな驚きを感じられたのではないでしょうか?
鉄骨の住宅の特徴
それでは、今回の記事のテーマでもある「鉄骨の住宅」の特徴や、「メリット・デメリット」についてお伝えしていきたいと思います。
先ほど掲載していたグラフデータを再掲しておきます。
まずは、簡単に各項目内容を参考にしながら網羅的に鉄骨の住宅の特徴を見ていきたいと思います。
①デザイン・外観
鉄骨の住宅のデザインや外観に関しては、コンクリートのような「曲線」や「斜めの壁」を使う設計は難しいです。
しかし、鉄骨軸組構法の建築スタイルで建てられた鉄骨の住宅であれば、モダンなタイプやナチュラルなデザインにはある程度対応できると言えます。
一方で、鉄骨ユニット工法になると、大枠のユニットが外観上もろに出てくるため、ユニット住宅独特の外観になることは避けられません。
総じて「デザインや外観」には、きつい制約がかかることを覚悟しておく必要があると言えるでしょう。
②間取りの自由度
鉄骨の住宅の間取りに関しては、「大きな開放感」を求められる方にとって鉄骨住宅は非常に適した工法だと言えるでしょう。
木造住宅ですと、910cm×4(約3,6m)の空間であれば、中間地点に柱をかます必要はありませんが910×5(約4,5m)を超える空間が連続する場合、中間地点に構造上の柱を入れなければならなくなる可能性があります。
一方で、鉄骨住宅の場合であれば、鋼材自体の力で建物を支えることが可能なので、木造と比べて「大きな空間」を演出しやすいことが特徴としてあげられます。
③耐震性・耐久性
鉄骨の住宅の耐震性・耐久性に関しては、鉄骨の住宅は抜群の安定感を誇っております。
木造の住宅で懸念される「生物劣化(シロアリや腐朽菌)」の心配も軽減されます。
しかし、逆に鉄骨の住宅では「構造体のサビ」が懸念材料としてあげられますので、ハウスメーカーの対策がどのようにされているのかを注意して確認することをお勧めします。
④断熱性・気密性
鉄骨の住宅の断熱性・気密性に関しては、木造住宅と比較するとグッと見劣りするデータが挙げられております。
鉄の熱伝導率(物質が熱を伝えやすいかどうかの指標)は木造の数値と比べて144倍も熱を通しやすいデータが観測されており、その鋼材が家の外側全体を覆っているので、当然「夏は室内が熱くなりやすい」ですし、「冬は室内が冷たくなりやすい」ことは避けられません。
⑤耐火性
鉄骨の住宅の耐火性に関しては、意外かもしれませんが木造と比較して弱いと言えるでしょう。
これは、「住宅が火災に対して耐えられるかどうか」を指標にした数値です。
⑥金額(低価格)
鉄骨の住宅の金額に関しては、コンクリートの住宅に比べると低価格で済む可能性が高いですが、木造と比べた時にはやや高くなる傾向にありますね。
また、新築時とは別で考えなければいけないポイントは「リフォーム・解体」の際の金額です。
特に解体に関しては、木造と比べて大掛かりな解体作業になるため、解体費用が高くなる傾向があります。
⑦工期
鉄骨の住宅の工期に関しては、工場で生産する工程が他の建築タイプと比べて多いため、比較的早く完成が見込めます。
特に、鉄骨ユニット工法(セキスイハイムやトヨタホームで建築をご計画の方は該当するでしょう)であれば、木造軸組構法の工期の3分の2ほどの期間で完成が見込めると思われます。
⑧施工技術
鉄骨の住宅の施工技術に関しては、工場生産の強みを生かして「品質・欠陥」ともに問題が起こりにくく、そこまで高くはないでしょう。
鉄骨の住宅で暮らすメリット
それでは、鉄骨の住宅のメリットを見ていきたいと思います。
鉄骨の住宅のメリットその1…粘り強く支える「耐震性」
耐震性に関しては、鉄骨の住宅の大きなメリットといえるでしょう。
木造の住宅が「木材を組み合わせて、分散させながら揺れに耐える耐震方法」なのに対し、鉄骨の住宅は「素材そもそもが強固な鋼材が、揺れを逃す耐震方法」であるという違いがあります。
つまり、本来「引っ張りや圧縮」への耐性に優れている鉄骨素材を「構造計算」によって組み合わせ、各素材が粘りつよく揺れに耐えることで家を支えることが可能ということです。
私が先ほどお伝えさせていただいた「粘りつよく耐える力の強さ」も、「揺れて耐える」という考えと「鉄本来の外的効力に耐る強さ」を合わせた表現だったんです。
現在、木造の住宅でも、制振装置や免震装置、またパネル工法による「面で家を支える技術」が発展したこともあって、格段に耐震性能が上がっていることは間違いありません。
それでも、震度8、震度9、震度10…と、耐震実験を繰り返していった時、最後まで耐えられる住宅は「鉄骨の住宅」である可能性が高いと言えます。
どこまで耐震性能を求めるかに応じて、耐震性の安心基準は変わってくると考えられるでしょう。
鉄骨の住宅のメリットその2…「家のズレや狂いが生じにくい」からこその安心の高品質
次のメリットは、鉄骨の住宅の「ズレや狂いが生じにくい」という点です。
鉄骨の場合は、当初設計された寸法や角度、収まりは建築後も変わることなく一定です。
なので、工場で精密に加工させる各部材を組み合わせていく中で、不具合は生じにくいことが考えられます。
これが木材の場合であれば、木材一本一本の性質が異なることで生まれる「建築後のズレ」や「壁やクロスの亀裂」、また「構造体強度の低下」が考えられるのですが、鉄はそもそも生きていない「無機物」なので、このような心配がないんですね。
一生に一度の買い物であるからこそ、建ててからの品質や完成度を優先的に求められる方には大きなメリットと感じられるでしょう。
鉄骨の住宅のメリットその3…生物劣化の心配が少ない「耐久性」
3つ目の鉄骨住宅のメリットは、「生物劣化の心配が少ない」ことから考えられる「耐久性」です。
木造であれば、柱や土台に「結露が原因でカビが発生」したり、その延長戦で腐朽菌(水分を栄養源にして育つキノコ類の菌)が家の構造自体を腐らせていく可能性が考えられます。
その点、鉄骨の場合であれば、シロアリの被害も木造と比べると少ないですし、構造形成物がそもそも無機物な鉄骨なので、菌が発生して素材を腐らせていく心配がございません。
なので、家自体が長持ちする耐久性に関して、大きなメリットと考えられるのです。
鉄骨の住宅で暮らすデメリット
次に、鉄骨の住宅のデメリットを見ていきたいと思います。
鉄骨の住宅のデメリットその1…鉄の素材が家中に…「断熱性・気密性」の低さ
鉄骨の住宅のデメリットといえば、第一に「断熱性・気密性」でしょう。
鉄の特性でもある「熱の伝えやすさ」は、木造やコンクリートなどの、他の構造タイプの中でも圧倒的に高いです。
(コンクリートは木造の13倍、鉄骨は木造の144倍の熱伝導率)
もし、日本が1年中「春」や「秋」の気候なのであれば、鉄骨の熱伝導率の話など、全く関係ない話なのですが、私たちが建築をする日本には、「猛暑の夏」に「大寒波の冬」がありますよね。
「住まい環境を快適にしたい」ということを考えるのであれば、環境に適した素材を選ぶことも、1つ大きなポイントです。
日本で家を構えるにあたって、鉄骨の住宅の「断熱性・気密性」の低さは、大きなデメリットと考えざるをえないでしょう。
鉄骨の住宅のデメリットその2…建てた後のコスト
次に、鉄骨の住宅では「住み始めてからかかってくるコスト」が意外にかかってしまうことが、デメリットとしてあげられます。
まず、先ほどの断熱性能のデメリットの延長線で「光熱費が多くかかってしまう」ことが考えられますね。
なぜなら、私も実家で体験した話ですが、特に冬場は「エアコンをかけっぱなしにしていても寒いので、エアコンを切る時間が少ない」日が続きます。
そうなると、通常よりも多くの光熱費がかかってしまうことになり、金額的なデメリットヘ繋がっていると言えるのです。
「ライフサイクルコスト」もマイホーム計画には欠かせないポイントですので、今後のマイホーム計画の参考にしてみてください。
建てた後のコストに関して、さらに時間軸を送って考えた時に「解体費用の高さ」が考えられます。
木造の解体時に搬入させる重機では、なかなか鉄骨の解体作業はできませんので、より大掛かりな解体作業になることが明らかです。
いざ家を解体しよう!と思い立った時、デメリットと感じる内容だと考えられます。
鉄骨の住宅のデメリットその3…見えないところに被害が…「結露とカビ」
最後に挙げたい鉄骨の住宅のデメリットは「結露とカビ」です。
鉄骨は熱を通しやすい素材であることはすでにお話しさせていただきましたが、その性質は「目に見えない場所での結露」を引き起こしてしまう可能性があるのです。
結露は一般的に、
「冬場にお鍋をした時に窓にいっぱいできるよね!」
「朝起きたら窓辺がビチャビチャになっていた経験があるな〜」
というようなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?
このような現象が起きる原因は、ズバリ「外気温と室内気温の温度差によってできる水滴」です。
冬場でしたら「外の冷たい空気と中の暖かい空気がぶつかったときの温度差」で、また冬場だけではなく、夏場に関しても「外の暑い空気と中のクーラーで冷やした冷たい空気がぶつかる時の温度差」でよく起きる現象ですよね。
結露が起きる場所は、実は「構造体の内部」、つまり「断熱材が入っている柱と壁の隙間」にも生じることが考えられ流のです。
鉄骨の住宅の場合、冬場でしたらキンキンに冷やされた構造体と、室内の暖かい空気がぶつかることで水滴が生じ、結果的に近くにある「断熱材が湿ってしまう」ことが起こり得ます。
この結露が原因で、断熱材のせいのが落ちてしまうばかりではなく、断熱材自体がカビてしまい、シックハウス(住まいの病気)につながる恐れも考えられるのです。
まとめ…鉄骨の住宅で暮らすことは、あなたにとってどう感じますか?
元住宅営業マンも納得の満足度
- 作成した間取りの数は、契約プランの「こだわりとアイデアの量」に比例する!
- 見比べた見積書の数は、値引き交渉の「知恵と材料の多さ」に比例する!
無料で間取り・見積書を取り寄せられるwebサービスを上手く活用し、理想のマイホームを必ず実現させましょう。
※まずは無料請求の手順と資料サンプルを確認したい方はこちらの記事でご紹介しております。
【PR】タウンライフ家づくり