元住宅営業マンで、現在は「どのハウスメーカーにも属さない立場」から、お家づくりに必要不可欠なお役立ち情報を提供しております。
当サイトにお越しいただいた方々には、ぜひ「マイホーム計画に活かせる知識」をお持ち帰りいただきたいと思っております。
今回は「外張り断熱」について、そのメリットやデメリットも含めてご紹介させていただこうと思っております。
マイホーム計画の「快適性」を考える際にお役立てください。
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Contents
家の快適性を考えるにあたって「断熱性」は重要な検討項目
「新築を建てるんだったら、今のアパートのように夏暑くて冬極寒の環境で暮らしたくないな〜」
「快適性は健康にも大きく影響してくるから、何としても断熱にはこだわりを持ちたいですね」
マイホーム計画を考えられている方々の中には、このように「快適性の追求」を意識されている方も多いのではないでしょうか?
日本の気候を見てみても、年々平均気温は上昇を続け、夏は猛暑日が増えております。
一方で、冬になれば暖房なしでは生きていけない「極寒の気候」があるのも事実です。
「夏暑くて冬寒い」という環境下で建築を考える際には、「室内空間をいかに快適に保てるのか」というポイントは非常に大きな検討材料になるでしょう。
そして、その快適性を実現させていくために、「断熱性」「気密性」「換気システム」の3つのポイントを考えていかなくてはいけません。
私がハウスメーカーで住宅営業をしていた時も、特にこの3つのポイントに関しては丁寧にご説明させていただいておりましたし、お客様の関心も高かったことを覚えております。
なので今回は、住宅営業マンに教えられる情報を鵜呑みにしてしまう前に、断熱のお話で、その中でも「外張り断熱」の情報をお届けしようと思います。
ちなみに、充填断熱のお話に関しては「グラスウールは最高の断熱材?元住宅営業マンが伝えたい真実」の記事の中でも触れておりますので、お時間がございましたら合わせてご覧になってください。
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外張り断熱と充填断熱、家の断熱構造はこの2種類が一般的
まず、一般的に家の断熱構法には、大きく分けて2種類のタイプが存在しております。
- 「外張り断熱」
- 「充填断熱」
この2つですね
●外張り断熱と充填断熱の参考図●
上記の参考図のように、充填断熱は柱や梁の間に断熱材を敷き詰めていく断熱法になります。
一方で、外張り断熱の場合、
- 構造体の外側から断熱材を備え付ける
というような構法になりますので、柱や梁も全て断熱材で覆ってしまいます。
一方で、外張り断熱の断熱材でよく使われる材料は「プラスチック系断熱材」か「木質繊維系断熱材」であることが多いです。
※参考までに、「住宅でよく使われる断熱材」の種類について記載させていただきます。
●住宅に使われる断熱材の主な種類●
断熱材 | 代表例 | 特徴 |
---|---|---|
繊維系断熱材 | グラスウール ロックウール | ・水を吸い込みやすく、保管方法に注意が必要 ・湿気が侵入するため、防湿対策が必要 |
発泡プラスチック系断熱材 | ビーズ法ポリスチレンフォーム 押出法ポリスチレンフォーム 硬質ウレタンフォーム ポリエチレンフォーム フェノールフォーム | ・水や火に強い・透湿防水性が高い・気密性が高い |
木質繊維系断熱材 | インシュレーションボード セルロースファイバー | ・木片や古紙などが原料・透湿防水性に優れている・外張り断熱可能 |
自然系断熱材 | 羊毛断熱材 炭化コルク | ・製造時の環境負担が少ない・吸放湿性が高い |
通常であれば、外張り断熱の断熱材は「ボード状」のタイプが好ましいです。
しかし、外張り断熱構法では、
- 〈外〉外壁-通気胴縁-断熱材-耐力壁-構造体-内壁〈室内〉
というような順序の造りになりますので、言うまでもなく断熱材を貫通して下地まで釘を差し込んで固定します。
この時、グラスウールの繊維系断熱材であれば
- 釘の支えが効かずに、断熱材がずれ落ちてしまう
- 断熱材が外壁の重みに耐えられなく、壁全体が歪む
というような可能性が出てまいりますので、「グラスウール」では外張り断熱の効果を最大限に発揮できないと証明されました。
(逆にグラスウールは、充填断熱のような「構造体の内部に敷き詰めていく構法には適した特徴がありますので、日本で最も使われている断熱材で有名です。)
なので、外張り断熱によく使われるのは、
- フェノバボード
- ネオマフォーム
というような「ボード状」兼「プラスチック系」の断熱材であることが多いのです。
外張り断熱って一体何?
外張り断熱は、先ほどもお伝えさせていただいたように、
- 柱や梁の構造体の外側から断熱材を貼り付ける
構法です。
一括りに外張り断熱といっても、その種類は複数存在しています。
- 外壁・屋根・基礎まで全て断熱材で覆われている外張り断熱
- 外壁・基礎のみ外張り断熱で、上は充填断熱煮よう「天井断熱」
- 外壁・屋根のみ外張り断熱で、下は充填断熱による「床断熱」
というような、「断熱ライン」で切り分けて外張り断熱を分類できます。
また、
- 「ボード上のプラスチック系断熱材」の外張り断熱の材料として使用
- 硬質ウレタンフォームなどの「発泡プラスチック系断熱材」を外張り断熱の材料として使用
というような、「断熱素材」で切り分けて外張り断熱を分類することもできます。
例えば、外張り断熱と類似した構法に、
「硬質ウレタンフォームを使って、屋根・外壁・基礎の構造体内部の隙間に断熱材を発泡させる」
断熱法がありますが、こちらは
- 断熱ラインは外張り断熱でも可能なライン
- 断熱素材は外張り断熱でも使用可能な素材
であることから、「外張り断熱」と勘違いされるお客様も多いのですが、実は「構造体の内側から断熱材を施工」していることに変わりはないので、この断熱構法は「充填断熱」になります。
外張り断熱は、「柱や梁などの構造部材をひっくるめて外気温から断熱ができる」という特徴があり、この点が充填断熱とは大きく異なる違いだと言えるのです。
つまり、外張り断熱には
- ・構造部材が外気温の影響を受けにくいため、耐久性の維持が期待できる
・屋根や基礎で断熱ラインを貼ることができるため、「天井裏」や「床下」の温度もコントロールしやすい
・外側から断熱材で密閉するため、気密性を確保しやすい
というような特徴が、充填断熱とは大きく異なるポイントとして考えることができるのですね。
外張り断熱のメリット
それでは、ここでは外張り断熱のメリットについてご紹介させていただきたいと思います。
外張り断熱のメリット①…熱橋が少ないため、その分断熱性が向上
まず外張り断熱の大きなメリットとしてあげさせていただきたいのが、
・熱橋が少ないため、建物の断熱性のが飛躍的に向上する
という内容のものです。
熱橋とは、
- 外気温が構造部材を伝わって室内へと侵入すること
を指した表現になります。
充填断熱であれば、構造体の間に断熱材が敷き詰められる構造になるため、構造部材自体は外気温の影響を24時間激しく受けることになります。
なので、例えば鉄の住宅であれば、熱を通しやすい「鉄の柱や梁」を通って、室内の温度が
- 夏場であれば暑く
- 冬場であれば冷たく
するのに大きな影響を及ぼされます。
一方、構造部材自体も外側から断熱をしてしまう「外張り断熱」であれば、柱や梁が外気温に晒される心配が激減し、結果的に
- 熱橋による温度影響が少ないため、建物の断熱性のが飛躍的に向上する
という独自のメリットへとつながるのですね。
さらには、
- 基礎の外側から断熱をすることによって「床下の温度」が夏場・冬場問わず一定
- 屋根断熱をすることで、天井裏の気温上昇を軽減し、2階居室部分の快適性を向上
させることも考えられます。
この点に関しては、外張り断熱の大きなメリットであると考えられます。
外張り断熱のメリット②…気密性に優れている
また、外張り断熱の断熱方法であれば
- 建物の気密性能が飛躍的に上昇
させられることがメリットになります。
C値が低ければ低いほど、すなわち建物の隙間が少なければ少ないほど、
- 室内の温められた(夏場であれば冷やされた)空気が逃げにくくなる
- 効率よく空気循環が行えるため、換気システムの性能を最大限に活かすことができる
という利点があり、特に後者の「換気システムの効率性上昇」のメリットは、室内空間の快適性に大きく関わってくる内容であるため、外張り断熱のメリットは「快適性」にも繋がっていることが考えられます。
気密性能が高めやすい理由としては、
- 外側から断熱するため、充填断熱のように「構造体の間にあるコンセントや配管」の影響受けない
- 建物の外側に気密層を設けることができるため、壁内空間と二重密閉することが可能
があげられ、気密性とは非常に相性がいい断熱構法になるのです。
外張り断熱のメリット③…壁内結露による「住まいの病気」の心配が少ない
さらに、外張り断熱のメリットとして、
- 構造体の内部で結露が生じ、構造部材を腐らせる腐朽菌の発生を抑制
することができる点が挙げられます。
壁内結露は「外気温と室内気温の温度差」によって生じるため、充填断熱の断熱ラインでもある「構造体内部(=断熱材が詰められている場所)に水滴が生まれ、水分を含んだ断熱材ごとずれ落ちてしまう可能性や、最悪の場合は腐朽菌が土台の木材を腐敗させ、家の強度を根底から蝕む可能性がありました。
一方外張り断熱の場合であれば、
- 構造体外部に断熱ラインが設けられているため、壁内の温度差が抑えられる
利点があるのですね。
結果的に、空気中の水蒸気が飽和して水滴になるまでの温度差を生まないため、壁内結露の発生リスクを激減させることができるのです。
構造体の品質を「新築時の状態で持続させやすい」ことは言うまでもありませんし、腐朽菌によって室内空間の快適性が損なわれてしまう「住まいの病気」のリスクも軽減させられるメリットだとも考えられるのです。
外張り断熱のメリット④…間取りの幅がぐっと広がる
最後に、別の観点から外張り断熱のメリットを見てみると、
- 「間取りの幅が大きく向上する」
という内容もあげることができます。
たとえば、夏場であれば
- 天井裏には約50℃の熱がこもりっぱなしの状態になる
現象が起きてしまうのですが、外張り断熱の屋根断熱を採用することで、
- 天井裏も居室空間として扱うことが可能
になります。
なので、物置と化していたスペースを
- 勾配天井
- ロフト
- 2階LDK
として活用するなど、間取りの選択肢を増やすことができるようになります。
逆に、床下の空間に関しても、基礎断熱をすることで室内空間との温度差をなくし、
- スキップフロアの収納スペース
- 玄関横のSCの高さの増大
- 床下収納
など、有効に使える空間面積がアップします。
外張り断熱は、性能面でのメリットだけではなく、デザイン面でのメリットも兼ね備えた断熱構法なのですね。
外張り断熱のデメリット
外張り断熱のメリット①…施工費用・材料費用が高くなる
まず、外張り断熱のデメリットとしてあげることができるのが、
- 施工費用の向上
- 材料費用の向上
でしょう。
施工費用に関しては、「外張り断熱の施工の難しさ」も起因してきております。
単純に構造体の内部に敷き詰めていけばいい充填断熱とは違い、外張り断熱では
- 外観形状に合わせた断熱材を使用する必要がある
- 外壁と断熱材を完璧に接合させる必要がある
というような、充填断熱には見られなかった「施工の難しさ」が存在しているのです。
なので、職人に求められる技術力は高くなり、その分施工費用も高く設定されているのが一般的です。
また、外張り断熱に使われる素材自体が「繊維系断熱材」と比較した場合は高価になる可能性が高いです。
必要部材 | 充填断熱 | 金額 | 外張り断熱 | 金額 |
---|---|---|---|---|
屋根断熱 | 高性能グラスウール16K100mm | ¥390,000 | 硬質ウレタンフォーム50mm | ¥1,000,000 |
外壁断熱 | 高性能グラスウール16K200mm | 硬質ウレタンフォーム100mm | ||
基礎断熱 | 押出法ポリスチレンフォーム50mm | 押出法ポリスチレンフォーム50mm | ||
気密 | 気密シート | ¥45,000 | 気密シート | ¥45,000 |
気密部材 | ¥165,000 | 気密部材 | ¥165,000 | |
合板 | – | – | 合板・胴縁 | ¥100,000 |
合計 | ¥600,000 | ¥1,310,000 |
『書籍「最高の断熱・エコ住宅を作る方法」参照』
今回は硬質ウレタンフォームを例に出しておりますが、フェノバボードやネオマフォームなどのボード上の断熱材であれば、さらに費用は大きくなります。
このように、使用される断熱材自体の金額が高価になりやすいため、マイホーム計画を考えていく上では「金額的なデメリット」を考えておかなければいけないでしょう。
外張り断熱のメリット②…壁厚が増えるため、室内空間の面積に影響が出ることも…
また、外張り断熱のデメリットとして、
・壁の厚みが増えるため、室内空間や施工面積に影響が出ることも考えられる
点がデメリットになりえます。
充填断熱とは違い、外張り断熱では「構造体の外側から断熱材を施工」します。
そのため、外張り断熱の素材が50mmであれば、充填断熱よりも5cmほど一回り建物が大きくなります。
具体的には、
- 一種低層地域の北側斜線制限に引っかかる
- 道路のセットバックの影響を受けてしまう
- 5cm分室内空間を狭める必要がある
というような内容が挙げられ、建築に関わる様々な内容を考慮した上で設計して行く必要があることがわかります。
外張り断熱のメリット③…確実に施工しておかなければ「外壁のズレ」や「断熱材のズレ」が生じる
最後に、外張り断熱のデメリットとして、
- 外壁材の歪みや断熱材のズレが生じる可能性がある
ことが挙げられます。
冒頭でもお伝えさせていただいた通り、外張り断熱では
- 〈外〉外壁-通気胴縁-断熱材-耐力壁-構造体-内壁〈室内〉
というような順番で施工がされておりますので、
- 断熱材をつなぎとめる釘
は「外張り断熱仕様のもの」を使う必要があります。
それは、外張り断熱の施工では、
- 木材の収縮によって外壁と耐力壁の間に空間が生まれ、その空間の広がりが「断熱材のずれ」を生じさせてしまう。
- 釘が外れてしまった場合、外壁が断熱材の重みに耐えられなくなってしまい、結果的に外壁がずれ落ちる。
というような致命的な欠陥を生む可能性があるからです。
なので、外張り断熱を採用しているハウスメーカーでは、実は
- どのような釘を採用しているのか
に関して十分に確認しておく必要があるのですね。
「このハウスメーカーでは、どのような断熱材を仕様しているんだろう…?」
「このハウスメーカーのUA値はいくらなのかな…?」
というような一般的に気にされるポイントに集中してしまいがちですが、外張り断熱の場合は「断熱材を固定するためのくぎの特徴と施工方法」に関して納得・安心ができなければなりません。
その点にも注意してハウスメーカー巡りを行なってくださいね!
まとめ…外張り断熱で快適な居住空間を実現しよう!
性能やハウスメーカーの選び方に関しては当サイト「マイホームプランナー」で情報収集し、実際のリアルな間取り・金額に関しては「資料請求」で自宅に取り寄せて、それぞれのマイホーム計画にお役立ていただければと思います。
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