元住宅営業マンで、現在は「どのハウスメーカーにも属さない立場」から、お家づくりに必要不可欠なお役立ち情報を提供しております。
当サイトにお越しいただいた方々には、ぜひ「マイホーム計画に活かせる知識」をお持ち帰りいただきたいと思っております。
今回は、住宅の快適性を考える上では非常に重要な項目でもある「換気システム」についてご紹介します。
「第一種換気ってなに?」「第三種換気との違いは?」など、住宅の換気システムに関して詳しく知りたい方は、是非参考にしてみてくださいね。
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Contents
換気システムと快適性の関係
「理想のマイホームを計画するにあたって、「室内空間の快適性」は妥協できないわ!」
「最近では換気システムを搭載している建築会社がほとんどだけど、一体なんでなんだろう?」
「第一種換気ってなに?第何種換気まであるの?」
ハウスメーカーで換気システムのお話を聞かれたことのある方には、このような想いや疑問を持たれている方々も多いのではないでしょうか?
また、今後マイホーム計画を立てられる方々にとっても、「換気システム」の存在は無視することができない内容であり、建築会社との契約前には必ず確認する必要のある項目になります。
換気システムは、「今後暮らしていく家の快適性」に大きく関わりがあり、具体的には
- 室内の清浄された空気環境の維持
- 室内の温度・湿度のコントロール
- ヒートショックによる健康被害の削減
- 室内結露や壁内結露の予防
- etc…
という内容を考える際には必要不可欠な存在なのですね。
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24時間が義務付けられた理由
第一種換気や第三種換気のお話をさせていただく前に、まずは、
「なぜそこまで住宅に換気が求められるのですか?」
このような疑問を持たれている方も多いかと思いますので、先にこの内容について簡単にご説明させていただきます。
(第一種換気や第三種換気の内容を早く見たい!という方は、次項「住宅の換気は主に「第一種換気」か「第三種換気」へお進みください。)
換気システムの導入が必要になった大きな理由としては、
- 外気の空気汚染が進んだことがきっかけで、自然換気が難しい現状
- 温暖化傾向・極寒の冬を凌ぐために、住宅の気密性を高めて隙間風を防止する構造が広まってきた
- 室内の汚れた空気が外部へ逃げにくくなった
ということが挙げられます。
昔の住宅によく見られる、
- 隙間を多くして「自然に建物内を換気」する
ような仕組みでは成り立たなくなってしまったため、高気密住宅が考案され、現在の住宅で多く採用されるようになってきたのです。
室内の空気を閉じ込めたままにしておくことで、長時間「汚れた空気環境の中」で生活する人たちが多くなり、結果的に
「シックハウス」
と呼ばれる社会問題にまで発展したことはそう遠い過去の話ではありません。
シックハウスは、
- 建材やシロアリ対策の散布材から発生する化学物質
- 空気汚染が原因で「ダニ」などの微生物が増加
- 一酸化炭素や窒素などの有害物質
などが、部屋中の空気に多く含まれる(かつ、長時間滞在してしまう)ことが原因で
- 頭痛や湿疹
- 吐き気やめまい
- 目や喉の乾燥
などの健康疾患を引き起こしてしまう、住宅関連の健康障害の1つです。
換気の悪さが原因で「住まい環境の快適性」が損なわれ、シックハウス症候群になってしまう人が増大しました。
そこで、国の法律によって
「一時間あたり0,5回の換気を24時間行う」
ことが義務付けられ、建物への換気設備の設置が求められるようになったのです。
「断熱性」「気密性」だけでは不完全な住宅の快適性
室内の不純物を効率よく廃棄することが「室内環境の快適性」に求められることはお分りいただけたでしょうか?
このことから、
「断熱性・気密性にとことんこだわることで、快適な新築ライフを実現するぞ!」
という考えは、少々不十分であることにも気がつきますよね?
冬場で例えるならば、
- 断熱性…暖かさを維持させる「厚手のセーター」
- 気密性…外気を遮断する「ダウンジャケット」
のようなイメージです。
しかし、こと住まい・こと住宅においては、「セーター×ダウンジャケット」の環境の中で生きていかなければいけません。
当然、冬場でも汗をかいてしまいますよね?
なので、毎日汚れを落とすためにお風呂に入ったり、女性であればブーツの消臭・殺菌を行うかと思いますが、
- 断熱性、気密性だけを整えても「室内の空気はきれいにならない」
- 断熱性、気密性だけを整えても「室内の湿度は一定にならない」
- 断熱性、気密性だけを整えても温度差は埋まらない
ということが考えられます。
そこで重要な役割を担うのが、「効率よく室内の換気を行うこと」なのです。
後にもご説明させていただきますが、
- 効率的な換気を行うためには「気密性の高さ」が必要不可欠
であることが考えられるため、逆に「換気システム」だけにこだわってもいけません。
まさに、「断熱性」「気密性」「換気システム」の3つが連動して初めて「快適な住まい環境」が整うと考えられるのです。
住宅の換気は主に「第一種換気」か「第三種換気」
まず大枠の部分ですが、換気の種類について見ておきましょう。
このように、換気には大きく分けて2種類の方法が存在します。
- 自然換気…ドアや窓を開けて行う換気。温度差や自然風を利用して換気を行います。
- 機械換気…機械を使って計画的に換気。24時間換気が行われるのはこちらの換気です。
①の自然換気には「ドアや窓から自然の力を使って換気を行う自然換気」と「エネルギーを使わずに自然の原理を利用して行うパッシブ換気」が存在します。
そして、住宅で行われる換気は、②の「機械換気」の方ですね。
機械換気にも2種類の換気が存在しており、
- 局所換気…浴室やトイレなどの「匂いや湿気」をスピード重視で集中換気する方法
- 機械換気…室内に「排気口と吸気口」を設け、機械で強制的に換気を行う方法
の2種類あります。
局所換気に関しては「どのハウスメーカー、どの建築会社の家」にも必ず設置されており、「トイレ」や「お風呂」、また「キッチン」の換気扇を回すことで換気を行えます。
一方、建物全体の快適性を左右するのが「機械換気」の方です。
この機械換気の中にもさらに
- 第一種換気システム
- 第二種換気システム
- 第三種換気システム
という3種類の換気方法が存在しております。
ハウスメーカーで説明を受ける「換気システム」は、すべてこの機械換気を行う設備の内容であり、その種類は大きく分けて立ったの3つしかないということが言えるのです。
第一種換気、第二種換気、第三種換気の概要
それでは、第一種換気、第二種換気、第三種換気のそれぞれの概要について見ていくことにしましょう。
第一種換気
まずは第一種換気です。
第一種換気は「吸気・排気」の両方を、機械で強制的に行う換気方法のことですね。
つまり、「強制吸気・強制排気」の換気方法と考えてください。
機械で換気を行なっていくため、特徴としては、
- 自然に換気を行う換気とは違い、計画的な換気を行うことができる
- 熱交換機能を搭載していれば、吸引された空気は外気温の影響を受けない
- 建物全体の効率的な換気が望めるため、空間ごとの温度差が少なくなる
といったようなメリットがあります。
しかし、一方で、
- 隙間の少ない建物だと、効率よく換気計画を実行できない
- 強制吸気・強制排気を行う機会が必要なため、設備コストが高額
- 24時間運転するため、ランニングコストが多額
というようなデメリットも存在していることを忘れてはいけません。
第二種換気
次に第二種換気です。
第二種換気は、吸気は機械で強制的に行い、排気は自然換気で行う換気方法のことを指します。
いわゆる「強制吸気・自然排気」の換気になりますね。
強制的に吸気をする目的としては、
- 吸気口の清浄フィルターを通してクリーンな空気を常に維持させる
ことなので、病院や健康関連施設などの「クリーンな空気を保つことが望まれる」建物に多く活用されております。
一方で、常に建物内の圧力が高い状態になるため、
- トイレやお風呂などの局所換気との併用が難しい
- 湿度の侵入を制御しにくい
- 熱交換システムとの相性が悪い
などのデメリットが存在し、この特性が「戸建て住宅」との相性がさほど良くないため、住宅には滅多に用いられない換気方法になります。
ハウスメーカーで換気システムの説明を受ける際も、あまり解説されることはないでしょう。
(今回の記事で扱うテーマが「第一種換気」「第二種換気」に焦点を当てられているのはこのことが原因です。)
第三種換気
最後に第三種換気です。
第三種換気は、自然に外気を吸気して、強制的に機械で排気を行う換気方法のことを指しております。
なので、「自然吸気・強制排気」と覚えておかれるといいでしょう。
一般的には「アパート」や「マンション」、また建築会社によっては戸建てにも使われる機会もあり、日本で最も広く採用されている換気方法になります。
特徴的なのが、
- 設備コストが安価で済む
- 比較的どんな間取りであっても対応できる
- ランニングコストが低い
というメリットがある反面、
- 建物全体の計画的な換気が難しい
- 外気温そのままに、室内へ空気の侵入を許す
- 気密性を高めておかなければ、機械換気のみでの換気が難しい
というデメリットも存在していることですね。
コストが低い分、どのハウスメーカー、どの建築会社でも標準仕様で採用しやすいのですが、その分「快適性の追求」を考えた際には「第一種換気と比べると懸念点が多い」ことは事実です。
住宅で使われる換気システムは「第一種換気」と「第三種換気」
以上がマイホーム計画を考えていく際に検討する必要がある換気システムの種類と特徴です。
第二種換気は住宅ではあまり採用されないことから、検討すべき換気システムは
- 第一種換気
- 第三種換気
のどちらかになります。
第三種換気には見られない「第一種換気のメリット」
それでは、第一種換気のメリットに着目して解説させていただきます。
まず第一種換気の大きなメリットとしてあげさせていただきたいのが、
「熱交換器を搭載可能」
だという点です。
第一種換気では、強制的に機械で空気を吸気するのですが、その吸気部分に熱交換器を搭載させることができ、この熱交換器が
「室内の快適性の維持」
に大きく役立つこどが考えられるため、第一種換気ならではのメリットと考えることができます。
熱交換器による快適性のメリット
熱交換器の原理は、上記の図のように「吸気側の持つ熱」と「排気側の持つ熱」を「換気システム内で中和させる」仕組みになります。
例えば、熱交換率50%の第一種換気システムであれば、
「外気温0℃×室内温度28℃での熱交換」=外気温0℃から約14~15℃の温度に温めて室内へ吸気」
することが可能です。
さらに、熱交換器の性能が上がり、熱交換率80%の第一種換気システムであれば、
「外気温0℃×室内温度28℃での熱交換」=外気温0℃から約22~23℃の温度に温めて室内へ吸気」
することができるのですね。
室内の空気をただ排出するのではなく、再利用することができるため、吸気による室内温度の変化を小さくすることに繋がるため、結果的には光熱費削減につながると考えられます。
湿度と温度を強制管理できる「全熱交換型熱交換器」
また、熱交換器の中には、先ほどの「熱交換のみを行う換気システム」である「顕熱交換型熱交換器」と別に、
- 湿度と温度の両方を中和させることができる「全熱交換型熱交換器」
も存在します。
室内空間の理想の湿度は
「40%~60%の間」
であるため、冬場などの乾燥した季節であっても「室内環境の湿度」は一定にキープできるメリットがあります。
結果的に
- 乾燥対策になるため、風邪やウイルスを寄せ付けない住まい環境を作れる
- カビやダニが発生しにくくなる
- アレルギー対策になる
というような効果をもたらしてくれます。
ハウスメーカーで「第一種換気システム」を採用している会社には、「湿度と温度の中和を行ってくれる機械なのかどうか」を確認されるといいでしょう。
計画換気に最適であるメリット
別の観点からもう少しだけ「第一種換気」のメリットをお伝えさせていただくと、
- ・第一種換気は建物全体の空気・温度・湿度をコントロールできる
機能に優れております。
外部フィルターを通じて清浄されたきれいな空気が、リビングやダイニング、トイレ、寝室に子供部屋、また廊下など、建物中を効率よく巡回するため、
- 家中が清浄された空気に包まれた状態
- 家中の温度が均一
- 家中の湿度が均一
にすることができるためですね。
これは、機械によって強制的に吸気された空気が「ダクト」を通じて各居室へと運ばれることと、逆に室内に溜まっていた汚れた空気を各居室空間の「排気口」を伝って強制排気されることが掛け合わされて実現できる計画換気です。
一般的な換気方法よりも効果的な換気が計画的に行えるため、日々の生活の快適性を向上させることができるのです。
高気密住宅を実現できてこそ換気システムの効果を期待できる
以前ご紹介させていただいた「高気密住宅が求められている9つのメリットを元住宅営業マンが伝えます」の記事にもありますが、
- 建物の隙間が多ければ多いほど「隙間から空気が逃げてしまう」ため、効率よく空気が巡回しない
というお話をさせていただきました。
これは、言い換えれば
「どれだけ性能の高い換気システムを搭載させたとしても、隙間だらけの家であれば効果は半減してしまう」
と考えられるのです。
第一種換気はもちろんのこと、第三種換気においても同様のことが言えます。
気密性と換気システムは、切っても切り離せない関係にあるということなのです。
なので、ハウスメーカーを見学に行かれた際には、
「気密性はどのなんですか?」
「換気システムって、どんな性能のものを使っているんですか?」
と、気密性と換気システムをセットで聞くようにしておきましょう。
まとめ…第一種換気・第三種換気の違いを知ってからハウスメーカーを見学しよう
いかがでしたでしょうか?
今回は、「第一種換気」の特徴を中心的にご紹介させていただきながら、換気システムと家の快適性の関係についてお伝えさせていただきました。
再度復唱させていただきますと、家の快適性は「断熱性」「気密性」「換気システム」の3つが揃って初めて実現可能になります。
ハウスメーカーによって、それぞれの対策や性能はバラバラです。
だからこそ、各ハウスメーカーの営業マンは「自社の秀でている性能に特化して訴求」をする傾向にあります。
営業マン主導でマイホーム計画を進めて行かず、3つ全ての情報を確認した上で、快適性の納得を得られるのかどうかを判断するようにしてみてください。
また、家づくりにおいては、「快適性」などの性能面とは別で、「間取り」や「金額」に関しても比較検討しなければいけません。
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